日常に活かす密教


日常に活かす密教

◆「運」はこうすればつかめる
◆「四苦八苦」の本当の意味とは
◆商売繁盛のコツ「自利利他」のすすめ
◆「儲かる」には「諸人」を「信者」にする
◆「八つの正しい道」とは何か
◆人の心を揺り動かす「八つの風」
◆あなたは「十二の因縁」に縛られている
◆近江商人は商売を仏教から学んだ
◆人を毒する「三つの煩悩」とは何か
◆欲の深さで死後行く道が決まる

◆あなたは「十二の因縁」に縛られている


「因縁をつけるな」などと、ひどいことをいう人がいる。
しかし、人は生まれることによって、すでに因縁はついているのである。

「過去の原因を知ろうと思えば、現在の結果をみてみるがいい。また、未来の結果を知ろうと思えば、未来の原因となる現在をみてみるがいい」
ということばがある。

釈迦は、過去、現在、未来の三世にわたる人間の生死という空間と時の流れを、十二通りの「原因結果」に分けて説明している。

それを順を追って話そう。

まず、過去の時代である。

一、無明
明るくない、真っ暗闇の世界である。
あなたが母の胎内に入るもっと以前、父と母の心の中にはそれぞれ煩悩があった。
その煩悩は、自分の意志ではどうにもならない盲目的な本能である。
これを無明という。
この無明が、円によって働き出すと、

二、行-ぎょう(業-ごう)
遠い過去の時代に、盲目的本能で行なってきた行為が、善悪問わず、いずれも父や母の身体に遺伝してくる。
これが「業」である。

ここから、現在の時代に入る。

三、識-しき
善悪の業を背負った父母は、縁によって結ばれ(だから結婚式では『良縁により』などという)、本能の営みにより、因縁の力によって受精し、あたらしい生命が誕生する。
このとき、父母の善悪業も業力(ごうりき)となって、その子共に受け継がれるのである。

四、名色-みょうしき
名は心のこと、色は肉体のことである。
受胎して最初の四週間目には、父母の顔、かたちだけでなく、父母の業力に応じた性格や癖まで受け継ぐ。

五、六処-ろくしょ(六入-ろくにゅう)
六は、仏教では、眼根(げんこん)、耳根(にこん)、鼻根(びこん)、舌根(ぜっこん)、身(しん)(-皮膚)根、意(い)(心)根を「六根」という。
山登りのときに「六根清浄(ろくこんしょうじょう)」というであろう。
さて、受胎して第五週以後にこの六根が備わってくる。
そして十ヶ月となる。
ここまでが胎内である。

六、触-しょく
ようやく母の胎内から産道を通って出てきて、外気に触れて、「オギャア」という。
ちょっと余談になるが、西洋では、こののときを零歳として満年齢で数える。
だが、東洋では、受精した瞬間ののときを零歳とする。
そして、たった六ミリグラムの受精卵は、十ヶ月後には体重は約三千グラム、なんと五百万倍になり、身長は二千三百倍にもなるのである。
それが生まれてから成人までの二十年間では、体重はたった二十倍にしかならないのだ。
赤ちゃんは、この十ヶ月の間に、原始動物から人類までの発生順にたどってくるのである。
だから、胎内での赤ちゃんの一日は、外界の何万年にも相当するのである。

七、受-じゅ
この幼児期は、六根によって、初めて触れる外界の色や声や、香りや、味や、身体の感覚、心の感覚、なんでもけ付ける。
これらは、過去の因縁の力によって現れてきた現在の果報(かほう)という。

八、愛-あい
成長して思春期となる。
少女はお人形を愛し、少年は少女に愛をいだき、そろそろ欲望も出てくる。

九、取-しゅ
青年期に入ると、愛情も欲望も強烈になり、何とかしてするものを手に入れたい、と執着するようになる。
たとえ、「十悪」を犯しても、人のものをっても、と思うのである。
このときに、しっかり教育しないと、精神に取が固定して、その人の将来の性格や運命がきまってしまう。

十二の因縁 十、有-う
取のときに、いろいろな業が造られて自分の果報となり、こころにしみついてしまうのである。
この現在のは、父母の時代の無明にあたるのである。

十一、生-しょう
あなたは、いま生きている。
そして、あなたの愛と取で作った無明による業と、あなたのパートナーとの業が、因縁の力により次の世代をふたたび作るのである。

十二、老死-ろうし
そして、あなたも子供も老いて死んでゆくが、再び無明となってくりかえす。

この十二の因縁は、お互い因となり縁となり、果となり合って、
過去、現在、未来へと生死流転(しょうじるてん)を、まるで車輪が回転するようにくりかえしていくのである。
これを、釈迦は「輪廻(りんね)」と名づけたのである。

十二因縁で説くように、誰もが前世からの業をもっている。
だが、今あなたの積む善業が、必ず子孫の善業となって表れてくるのである。




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