おといれだより 平成26年8月号(No.395) から、一部内容のご紹介

おといれだより 平成26年8月号(No.395)
【 目次 】

◆日本人の躾(第55回) 「積聚心(しゃくじゅしん)」
◆仏事講座「もっと知りたい仏の世界」 ~辞世の言葉 “幸せでした!”~
◆知っていますか?「暮らしに生きてる仏教語」 ~正直~
◆第40回 四国巡拝レポート
◆妙喜の密教料理 ~豆腐のチーズ みそ味~
◆自然カレンダー 【葉月(はづき)】 「新暦、旧暦、六曜、二十四節季、旬の食べもの」
◆密教占い あなたの8月を占う
◆八幡大師大日寺 八月の行事案内ほか



◆日本人の躾(第55回) 「積聚心(しゃくじゅしん)」 <平成26年8月号より>


思い上がり

「イチゴくん、おはよう!」
「おはようじゃありませんよぉ〜、もう暑くて真昼のようです」
「まあ、そう言わずに冷たい水でも飲みなさい」

…美味しそうに水を飲むイチゴくんを見ながら
(そうだ、イチゴくんは中国で生まれ育っているから聞いてみよう)

「イチゴくん、中国の水はおいしかったかい?」

「ははは、おいしいわけないでしょ。日本のように浄水していないし、川の水そのままでしたよ」

「中国の人は、たいてい濁っている水を飲んでいるから、生水を飲むと確実に腹をこわすと聞いているが…」

「確実にとは何ですか!?
ボクは和尚さんのようにひ弱な胃腸じゃありませんよ!
でも確かに、初めて日本で蛇口から透明の水が出てくるのを見たときは驚いたなぁ」

「イチゴくんは普段、水道の水を飲んでいるのかい?」

「えへへ、最近テレビで水の宣伝を見て、もっとおいしい水が飲みたいと思い、宅配便で水を取り寄せているんですよ」

「ところで、イチゴくん。座り込んで水を味わっている場合じゃないでしょ。
はやくマッサージしておくれよ。
弘法さんも大切な事と、そうでない事の区別がつかないのを
〝澄んだ水〈渭(い)〉と濁った水〈涇(けい)〉別(わ)かずんば醍醐(だいご)誰か知らん〞
と水に例えて教えているよ」

「おっ!弘法さんの言葉ですね。待ってました!是非、是非聞かせてください!」

コップに残った水をグイッと飲み干し、いつものマッサージが始まりました。

「濁り水を飲んで、これが水の味だと思うように、邪教(外道ともいう)ばかり信じている者は、これが正しい教えだと信じ込んでいる。
これを物事の一面だけしか見ない心〝積聚心〞(しゃくじゅしん)といって、弘法さんは諌めているのだ。
そして本物の最上の味のことを醍醐味(だいごみ)といって、その何ものにもかえられない深い味わいを味わうためには、中国の濁った水も、日本の水道水も、イチゴくんの取り寄せた水も、そして今飲んでいる大日寺で加持(仏さまの力を授ける事)をした水も味わって、それぞれの味を分別し最高の味を知らねばならぬという事だよ」

「和尚さん、大日寺で加持した水が醍醐と言いたいんでしょ。…あれ、何だかゴロゴロとお腹が痛くなってきました」

「おいおい、さっき君は、和尚のようなひ弱な胃腸じゃないと言ったじゃないか」

「う〜ん痛い、チョット失礼します」

…すっきりした顔でトイレから出てきたイチゴくん。

「ごめんなさい、昨夜あまりの暑さに友達とビールを飲み過ぎたのを思い出しました」

「こりゃダメだ…」





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