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四月八日。
この日は、お釈迦さまが産湯に使った故事にあやかって、『甘茶をかけて、お釈迦さまのお誕生日のお祝い』をします。
この仏教行事のことを『花まつり』といいます。
お釈迦さまは生まれるとすぐに立ち上がって、七歩歩き、右手の人差し指を天にさし上げ、左手の人差し指は地を指して、
『天上天下唯我独尊(てんじょうてんがゆいがどくそん)』と言いました。
その意味は、
『天の上から下までの間に(この世に)我(私)という人間は一人しかいない、まことに尊いことだ』ということです。
あなただって、この世にあなたという人間は一人しかいない尊い存在なのです。
この日、お寺の玄関にお飾りしてある甘茶をいただきながら、
今年の幸せを祈りましょう。
4月8日は、お釈迦さまがこの地球という星に王子さまとして生まれた日です。
幸せな毎日を送っていたお釈迦さまは、あるとき・・・
人はなぜ生まれてくるのだろう。
人はなぜ死ぬのだろう。
人はなぜ病気をしたり苦しんだりするのだろう。
人はなぜ老いていくのだろう。
と考えるようになりました。
そしてその原因を知りたくなり、王子さまとしての生活を捨てて難行苦行の修行の道を進んだのです。
ところが、3年もすると体を痛め、苦痛と動かぬ体にただ耐えるだけの修行をすることになりました。
そして痩せ衰えて考えることさえも出来なくなってしまいました。
すると、天から声がしました。
『さぁ、沐浴をして身を清め、静かに自分の心を見つめてごらんなさい』と。
お釈迦さまは、さっそく川に入ると、あまりに痩せ過ぎていたためプカプカと浮いてしまいました。
それを見ていた村娘スジャータが、乳粥を飲ませてくれたのです。
元気を取り戻したお釈迦さまは菩提樹の木の下に座り、瞑想に入りました。
そして12月8日に、
『この世の中は移ろって行くものであり、何一つ定かなものはないのだ。人は生まれ、病になり、老いて死んでいくものなのだ』
ということがわかったのです。
これを成道(悟りを開いた日)といいます。
すると帝釈天があらわれ「お釈迦さまだけが分かったのではずるいよ。みんなお釈迦さまと同じように苦しんでいるんです」とうったえると、
『よしわかった』と決意して、それから死ぬまでインド全域をまわり、生まれた以上は誰もが持っている『苦しみや悲しみ』は無くなりはしない、自分が苦しく辛い時も他人(子供や妻や夫が)が辛く苦しい時も同じなのだと説いて回ったのです。
そして同時に、あの沐浴をした日に痩せ細ったお釈迦さまの目を見て「だいじょうぶですか?」と乳粥を飲ませてくれたスジャータの本当の優しさを思い出し、
『自分がしていただいて嬉しかったことは他人にもしてあげなさい。それが慈悲の心です』
と、死ぬ直前まで説いたのでした。
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